支援者の声
1991年にアルプス山中で発見された約5300年前の冷凍ミイラ、「アイスマン」の胃からピロリ菌が発見された。もともとアフリカの霊長類に寄生していたが、人類の移動とともに世界に広がった。この菌が原因の胃がんの患者は、世界で年間100万人を超える。人口あたりの発生率は、日本は韓国、モンゴルに次いで世界で3番目、ブータンは5番目だ。人類の宿敵である胃がんを日本は克服しつつあるが、ブータンなどの発展途上地域では、今なお命取りの病だ。これと戦っている「胃癌を撲滅する会」の活動に心から敬意を表するとともに、全面的に支援したい。
石弘之(感染症史研究者)
胃癌を撲滅する会の高邁な活動に共感し、鴨川先生の熱意溢れるご説明もあり、貴法人のブータン王国におけるピロリ菌除菌活動に対して、EAファーマの除菌治療剤を提供させていただきました。ピロリ菌感染者の8割が除菌により陰性になったとの結果を伺い、少しでも貢献ができたと喜んでいます。今回のパイロットスタディの成果をもとに、活動が益々発展することを期待しています。
松江裕二(元EAファーマ代表取締役社長)
ウィーン勤務時代に知り合った鴨川さんからNPO法人「胃癌を撲滅する会」を設立し、途上国での啓発活動や技術指導をしたいとの話を伺い、東京の外務省の担当課に話をつなぐ等ささやかながら応援させてもらっています。メンバーのほとんどがお医者さんですが、皆さんご立派な方々ばかりでその真摯な取り組みには頭が下がります。この法人の活動の目的は単に薬や医療機器を途上国に届けるのではなく、日本で培われてきた医療技術を途上国の医師たちに伝える、すなわち途上国が自らの力で自分たちの患者の命を救えるようにするとの点にあります。まさに持続可能な支援なのです。現在はブータンを中心に活動し、着実に成果を上げていますが、今後はさらに他のアジア諸国にも活動を広げていく予定です。多くの方々の協力により、支援の輪が広がっていくことを願っています。
中根猛(元駐独日本大使)
私はブータン医科大学(ケサギャルポブータン医科大学)の代表として謝辞を述べたいと思います。胃癌を撲滅する会(HIGAN) は、ブータン医科大学とブータンで最も死亡率の高い胃癌対策の共同事業をやってきました。この重大な公衆衛生の問題を解決するために、私達は、JICAのサポートのもとに2019年から、ブータン保健省、本学の教育病院であるジグメドルジワンチャック国立病院、王立疾患制御研究所とも協同し事業を開始しました。これはブータンの胃癌制圧のための最初の事業ともなり、ピロリ菌感染と胃癌の住民への啓発、胃癌の早期発見と治療、疾患のサーベイランス、治療とモニタリング、内視鏡診断のためのトレーニング、症例検討会やe-learningを行っています。これらの早期胃癌発見のための内視鏡トレーニングは地方や地域の病院にとっても大きなベネフィットとなっています。HIGANとの共同事業はとても有意義な経験であり、今後もさらに多くのプロジェクトでコラボレーションを続けて行きたいと考えています。最後にHIGANの活動が人類にとって素晴らしいチャレンジになることを願っています。
Kingzang Tshering (ブータン医科大学学長)